2009年11月16日 00:00 〜 00:00
小川和久・軍事アナリスト

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会見リポート

打ち返すボールは日本側に

高畑 昭男 (産経新聞特別記者)

21世紀の最初の10年が過ぎようとする中、太平洋の両岸で民主党政権が誕生した。中国の政治、軍事、経済的台頭も著しい。日本を取り巻く国際環境がめまぐるしく変化するタイミングをとらえて、日米中関係を検証するのが研究会の趣旨だ。

安全保障の側面を中心に登場いただいた小川和久氏は国際政治・軍事アナリストで知られ、戦略シンクタンク「国際変動研究所」理事長を務める。のっけから「共和党から民主党に政権が代わっても、世界の中でアメリカの軸足は変わらない」「日米同盟は米国にとっての国益でもある。米側から同盟を解消する可能性は低い」と語り、「政権交代した日本も、軸足をブレさせないことが大切だ」と指摘したのはもっともなことだと思う。

それでも、鳩山由紀夫新政権はスタート時から米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題で迷走が続く。13年前の普天間返還合意(1996年)当時からこの問題に深く関与してきた小川氏は日本政府内や日米間の興味深いエピソードも交えて説明し、聴衆の耳をそばだたせた。「いずれにせよボールは今、日本側コートにある。ボールを打たねば始まらない」と、鳩山首相にも早期の行動をアドバイスしたそうだ。

全体のテーマは「日米新時代の日米中関係」ということで、普天間以外にも日本の防衛計画大綱、集団的自衛権、対テロ国際協力、海賊対策など幅広い分野に及んだ。

日米中関係では、「日・米・中」か、「日米・中」なのか──との問いかけが意義深かった。まずは日本の国家像(国家戦略)や国益を明らかにし、日米が連携して取り組む。「建設的関与」を軸に、経済面では美味しい中国、軍事面では危険でない中国に変えていく「力」を日米同盟に求めるという考え方もうなずけた。オバマ、鳩山両政権の波長が早く同調するよう期待する。
 

ゲスト / Guest

  • 小川和久 / Kazuhisa OGAWA

    日本 / Japan

    軍事アナリスト / Military Analyst

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