2009年10月19日 00:00 〜 00:00
ケント・カルダー・ジョンズ・ホプキンス大学ライシャワー東アジア研究所長

会見メモ

日本と米国、中国の関係を考えるシリーズのトップバッターとして、ケント・カルダー(Kent Eyring Calder)ジョンズ・ホプキンス大学ライシャワー東アジア研究所長が、民主党政権発足後の日米関係の展望を語った。

司会:会田弘継企画委員(共同通信)

会見リポート

wait and see のワシントン

飯山 雅史 (読売新聞調査研究本部主任研究員)

鳩山政権発足から1カ月。インド洋での給油活動から撤退を表明したり、普天間基地移転の見直しを示唆したりとめまぐるしい動きの中で、ワシントンが新政権をどう見ているのか気になるところだが、知日派の代表格、カルダー氏のメッセージは、大局を見失うなということだった。

「普天間飛行場の移設で数十メートル移動させるとか、そんな問題は何とかなりますよ。オバマ政権は、びっくりするぐらい日米問題に高い優先順位を与えている。だから、根本の問題をきちんと見据えて対処してほしい」という。根本の問題とは、日米同盟の安定化と、戦略上の共通理解の進展だ。今年2月にまとまった米軍再編と海兵隊のグアム移転に関するパッケージは、西太平洋地域全体の安定のためのグアムの重要性に対する共通認識を持って進めなくてはいけないし、新たな脅威に対処するためのミサイル防衛協力や対テロ作戦での協力が、同盟の根本的な戦略問題だと主張した。

「新政権は何か新しいことをやりたいと考えるもの。それは米国でも同じ。政権交代は民主主義の活力が発揮されたものと見て、好ましく見ているし、今は、wait and see(様子を見てみよう)というのが、新政権への態度」と、ワシントンの雰囲気を説明する一方で、米国の対中接近が進んでいるのではないかという見方には、「中国の存在は大きくなっているし、エネルギー問題などでは日米中で対話を重ねる必要がある。でも、安保問題では米中とか日米中はない。日米中ロ韓といった他国間協議の枠組みか、日米2国間でしっかりと協議をしなくてはいけない」と断言する。

日米関係に気を配る知日派のパイプは、このところやせ細ってくるばかりだが、カルダー氏の揺らぎのない発言に、少し安堵の気持ちを持ったところである。

ゲスト / Guest

  • ケント・カルダー / Kent CALDER

    アメリカ合衆国 / USA

    ジョンズ・ホプキンス大学ライシャワー東アジア研究所長 / Head,Reischauer Center For East Asian Studies,Johns Hopkins University

研究テーマ:日米中

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