2009年10月06日 00:00 〜 00:00
胡偉・上海交通大学国際公共事務学院院長

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会見リポート

2012年党大会で指導者の選挙も

坂東 賢治 (毎日新聞外信部長)

9月に行われた中国共産党の第17期中央委員会第4回総会(4中全会)では、注目された中央軍事委員会副主席人事の発表がなかった。習近平国家副主席が軍でもナンバー2になれば、胡錦濤国家主席(党総書記)退任後の後継者の地位を確定させるはずだったが、その行方は謎のままに残った。

中国共産党内部で何が起こっているのか。海外の中国ウオッチャーの間でも様々な観測が出ているが、「なるほど」と思わせる新鮮な分析が他ならぬ中国内部の学者の口から飛び出したのは意外だった。

中国の若手官僚養成機関としても注目される上海交通大学国際公共事務学院の胡偉院長(45)は今後の中国政治の行方について語る中で「(2012年の)第18回党大会では党内選挙で指導者を選ぶ
ことがありうる」と大胆な予測を披露した。

江沢民前国家主席、胡主席は最高実力者だった鄧小平氏の指名で、トップの座についた。しかし、江氏にせよ、胡氏にせよ、共産革命以来の軍歴、党歴を持ち、毛沢東主席にも一目置かれていた鄧氏のような権威は持ちえない。

誰かの指名では正統性に疑問符がつきかねず、次代の指導者にとっても党の選挙で選ばれたという正統性の方が重要になる、というのが胡氏の見立てだ。そう簡単に党内改革が進むかには疑問も残るが、政治分野にも競争原理の導入が不可避という胡氏の分析には十分な説得力がある。

日中関係についても党の見解や政治的リップサービスではなく、現実主義的な主張を聞くことができた。民主党・鳩山政権の誕生を歓迎しながらも、東アジア共同体の推進や歴史問題の解決には指導者個人の意向だけでは簡単に変えられない構造的問題があると慎重な姿勢を崩さなかった。胡氏は政府のアドバイザー役でもある。理論界の変化が中国政治の変化に結びつくかを注視したい。

ゲスト / Guest

  • 胡偉 / I Ko

    中華人民共和国 / China

    上海交通大学国際公共事務学院院長 / Director,International Public Office Academy,Shanghai Jiao Tong University

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