2009年10月02日 00:00 〜 00:00
豊田章男・トヨタ自動車社長

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会見リポート

一心に想えば事は成る

塚越 敏彦 (共同通信社アジア地区総代表)

「トヨタは大きくなり過ぎて、お客さまから離れてしまっていた」

53歳の若きリーダーは、まず、“反省”を口にした。

世界不況を受け、創業以来の巨額赤字という“どん底”からスタートした豊田章男新体制。

「大きなトヨタから、お客さまを大事にするトヨタへ」「グローバルから“グローカル”に」「トヨタのクルマ造りのDNAを取り戻す」と力を込めた。

しかし、創業家から久しぶりの社長就任は、最悪の“大嵐”の中での苦しい船出である。周囲からの“重圧”は想像以上だろうが、気負いを感じさせないのはさすがだ。

国際ライセンスを持ち、1年間に200台もの外国製新車に試乗する究極の“クルマ野郎”だ。

クルマの将来にふれるや、口調は、一変、情熱的になる。

「100年前、米国では自動車の普及で、1500万頭の輸送馬が“失業”した。100年後はそうした“轍”を踏ませない」とキッパリ。先行するハイブリッドからEV・燃料電池へと、次代をひらく技術革新への思いを熱っぽく語った。

「新興国では手頃な価格のクルマを、先進国では買い替え促進を」─各副社長に“地域割り”を命じたのも欧米とアジア市場に“即応”する戦略のためだ。

「早期に“健康体”に戻したい」と明確な“メッセージ”を発信した昼食会。大ホールは、325人という新記録の出席者であふれた。

“時代”が求めるリーダーなのか。

揮ごうは、毛筆で『心想事成』と。─一心に想えば“コト”は成る─
中国の知人から贈られた言葉という。

豊田新社長の思いはかなうのか。“真価”が問われるのはこれからだ。

ゲスト / Guest

  • 豊田章男 / Akio TOYODA

    日本 / Japan

    トヨタ自動車社長 / President,TOYOTA MOTOR CORPORATION

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