会見リポート
2009年07月15日
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孫崎享・前防衛大学教授・元イラン大使
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会見リポート
アフガン問題のジレンマ
山内 聡彦 (NHK解説主幹)
孫崎氏の研究会は冒頭から大胆な問題提起にあふれていた。ウズベキスタンやイランの大使としてアフガニスタンを周辺国から見つめてきた孫崎氏の話は9・11からイラク戦争、日米関係など多岐にわたった。
孫崎氏が最も強調したのは「米国はなぜアフガニスタンで戦っているのか合理的な理由を説明できていない」というものだ。孫崎氏によると、アルカイダが米国を攻撃したのは米軍がメッカとメジナの2つの聖地に駐留していたことに反発したためだが、イラク戦争開始後に米軍がサウジアラビアから撤退したことでアルカイダが米国と戦う理由は消滅した。一方、米国がアフガニスタンで戦っているのはタリバンがアルカイダをかくまっているためだが、アルカイダは今パキスタンに逃げ込み、米軍が駐留するアフガニスタンには戻ってきていない。またタリバンは土着の民族で米国本土を攻撃するつもりはない。テロの中心がパキスタンに移ったのに、なぜオバマ政権がアフガニスタンにこれだけ政治的にコミットするのかよく分からないという指摘だ。米国でも専門家の間で同様の論議が起きているという。
アフガニスタンでは8月の大統領選挙を前に7月初めから米軍の大規模な掃討作戦が始まった。しかし、孫崎氏は「山岳地帯で、軍事作戦がイラクよりはるかに難しく、軍事的な制圧は困難だ」として、「アメリカにとっては時間との戦いだが、1~2年でできる問題ではない」と見る。
「軍事行動がテロを排除しているのか、テロリストを作っているのか冷静に判断すべきだ」
孫崎氏はこう述べて、アフガニスタン問題はハマスやヒズボラとの和平など中東和平全体につながる形で解決すべきと強調した。
ゲスト / Guest
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孫崎享 / Ukeru MAGOSAKI
日本 / Japan
前防衛大学教授・元イラン大使 / Former Professor, National Defense Academy of Japan;Former Ambassador to Iran
研究テーマ:ユーラシア