2009年06月10日 00:00 〜 00:00
志位和夫・日本共産党委員長

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会見リポート

蟹工船ブームで躍進できるか

恵村順一郎 (朝日新聞論説委員)

書記局長時代をあわせ10回目の登壇だそうだが、いつにも増して自信に満ちた気分だったのではないか。

言うまでもない。「蟹工船」ブームもあって、共産党への関心が大きく高まっているからである。

非正規労働者の問題では、日本経団連やトヨタの幹部と会談し、社会的責任を果たすよう求めたことを紹介。オバマ米大統領に核兵器廃絶演説を歓迎する書簡を出し、返書が来た経緯も詳しく語った。

「財界・大企業との関係でも、米国との関係でも、私たちが政権を担う党へと成長していくうえで、初歩的だが重要な一歩を踏み出した」

いつまでも野党でいる気はない、そのためには共産党の皮を一枚ずつむいていきたい──。そんな決意表明のようにも聞こえた。

共産党が貧困と格差の問題に積極的に取り組み始めた一昨年秋以降、新規の入党者は毎月千人、延べ1万9千人に達したという。

それだけに、総選挙に向けた手応えは「大変強い」と言いながらも、自民党か民主党かの政権選択を問う構図が「相当な圧力になっている」ことも認めざるを得ない。

それでも、選挙結果によっては、共産党が政治のキャスチングボートを握る可能性もなくはない。

「憲法や消費税などの根本で隔たりがある」と、自民党はもちろん民主党とも「政権協力の条件はない」ときっぱり。一方で「総選挙で共産党が躍進できればおおいにやりたいことがある」とも言う。

後期高齢者医療制度の廃止や労働者派遣法の抜本改正など他党と一致できる政策について、積極的に提案し、前に進めていきたいという。

共産党がそんな「政治のリード役」になれるか。そのことが問われる総選挙はもうすぐだ。

ゲスト / Guest

  • 志位和夫 / Kazuo SHII

    日本 / Japan

    日本共産党委員長 / Chairperson, Japanese Communist Party

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