2009年04月09日 00:00 〜 00:00
麻生太郎・首相

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会見リポート

高揚感…落とし穴も? 

橋本 五郎 (読売新聞特別編集委員)

大切なのは客観的な事実よりも気持ちの持ちようだ。そんなことを実感した会見だった。内閣支持率は上がったとはいえ、20%台をさまよっている。危険ラインの30%を下回っているにもかかわらず、首相は高揚していた。
 
この日打ち出した「未来開拓の戦略」は評価していいものだった。目の前の課題に対応することに精一杯だったが、「低炭素革命」「安心、元気な健康長寿社会」などをキーワードに、2020年までに日本が目指す姿を示した。今後の議論のたたき台には十分なり得るだろう。
 
高揚感を背景に「麻生らしさ」復活を思わせる会見でもあった。中国の女性向けの雑誌をかざし、「これ、誰?言えない年になっちゃった?香里奈って人です」「これ、知らない?ほとんど今の時代に生きておられない方ですね。エビちゃんです」。  私自身は、一国の宰相であることとあゆや香里奈、エビちゃんを知っていることに強い相関関係があるとは思わないが、このあたりに、いい意味でも悪い意味でも「麻生らしさ」があることは事実だ。
 
どんな中期構想を出そうが、選挙に勝たなければ「絵に描いた餅」にすぎないということで、冒頭で衆院解散の時期を質問したが、これがまた例の如く麻生流。現場記者の総理大臣への質問の質が低いことを嘆きながら、「現役の諸君も、あぁ、先輩を見習っただけなんだと思って、残念な気持ちがしました」ときた。  私自身が言い返されたから言うのではない。支持率が少しずつ戻っているのは、目立った失言がないからだと思うだけに、今の程度で高揚していると、落とし穴が待っているようにも思ってしまう。

ゲスト / Guest

  • 麻生太郎 / Taro ASO

    日本 / Japan

    首相 / Prime Minister

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