2009年02月09日 00:00 〜 00:00
門間一夫・日本銀行調査統計局長「2009年経済見通し」

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会見リポート

1─3月期GDPはさらに下落

土肥 一忠 (時事通信出身)

金融政策は理屈だ、と思う。だからだろう、日銀マンの多くは話がうまい。難しい事象を、素人にも分かりやすいように理路整然と説明する。「日本経済の現状と展望」がテーマの門間・日銀調査統計局長によるレクチャーもご多分に漏れず。作秋のリーマン・ショック以降、まさに「崖のように」落ちるいくつもの経済指標のグラフを示しながらの解説は、明快だった。

なかでも、なるほどと思ったのは「常識では考えられない」ように急落する足元の日本のGDPについて、である。何しろ2008年10─12月期は実質12・7%減と2ケタの落ち込みである。しかも09年1─3月には「場合によってはマイナス幅がさらに広がる」ことが予想されている。金融危機の震源地だったはずの米国が10─12月期マイナス3・8%にとどまっているというのに、だ。

米国に比べ、日本のマイナス幅がこんなにも大きくなってしまうのはなぜか。門間氏によれば、それは「産業構造の違い」。つまり金融ショックは特に自動車、住宅産業、設備投資に大きく影響する。それだけに資本財、耐久消費財などを中心に製造している国が、今回の金融危機の直接的打撃を受けやすい、という。

例えばGDPに占める自動車産業の生産額のウエートは、米国は1%に満たない。ところが日本は約3%。しかも日本は半導体、工作機械など自動車関連の生産額比率も高い。それだけに米国発の金融危機の影響をストレートに受け、「足元の落ち込み方が米国よりもはるかに急になってしまった」のだ、という。

そういえば日本の景気の落ち込みは「他国に比べたら傷が浅い」と言ったどこかの首相がいた。こんな認識だから支持率も「崖のように」急落してしまうのだろう。門間レクをぜひ聞かせたい。

ゲスト / Guest

  • 門間一夫 / Kazuo Monma

    日本 / Japan

    日本銀行調査統計局長 / Chief, Investigation and Statistic Breau, Bank of Japan

研究テーマ:2009年経済見通し

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