2009年02月18日 00:00 〜 00:00
曽蔭権・香港行政長官

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会見リポート

ことしはマイナス成長覚悟

小此木 潔 (朝日新聞編集委員)

香港の行政長官の会見は1997年の董建華氏以来。当時の財政長官としてアジア金融危機を乗り切った実務家は、今回の世界経済危機の深刻さを率直に認めつつも「危機はアジア諸国にとって新たなチャンスでもある」と自信を示し、「危機克服のため、個別でなく一緒に努力しよう」と力強く呼びかけた。

ツァン長官は「現在の危機は前回のアジア危機に比べてずっと深刻」であり、「これからさらにひどくなる。09年の香港の成長率はマイナスだろう」と、厳しい見通しを隠そうともしなかった。さらに「トンネルは長くなる。数年間の対応が必要だ」とも述べた。だが、米国や欧州とは違って、金融機関の機能が保たれていることや、広州などと共同で進める「珠江デルタ開発」や、本土と結ぶ橋や鉄道などの巨大プロジェクトの将来性を指摘。「我々が一緒に行動すれば、回復を早め、苦痛を和らげることができる」「危機が終わった後でグローバル市場でアジアの競争力が強くなっているようにしなければならない」と語った。

中国に返還されたあとも資本主義に徹する香港らしく、「グローバル化した世界にあって、保護主義や内向きの思考の余地はない」と言い切り、自由貿易と競争を通じた経済発展を推進する姿勢を強調。日本との関係強化もそうした戦略の一環であることを鮮明に示した。

今年は日本と香港の「観光交流年」。長官は「ワーキング・ホリデー」協定について中曽根外相と合意したことを紹介。「若い人々が相互の文化について理解を深める機会が増える」と、交流拡大への期待を語った。一方、行政長官の直接選挙に関する質問には「法律や全人代で決められており、あとはどのような手続きを踏むかだ」と答えた。

ゲスト / Guest

  • 曽蔭権 / Donald Tsang Yam Kuen

    中華人民共和国 / China

    香港行政長官 / Chief Executive of Hong Kong

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