2009年02月13日 00:00 〜 00:00
イヴォ・デブア・国連気候変動枠組み条約事務局長

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会見リポート

失敗できぬコペンハーゲン会議

清水 正巳 (日本経済新聞論説委員)

京都議定書に続く地球温暖化防止の枠組み交渉は今年がヤマ場。12月にコペンハーゲンで開かれる国連気候変動枠組み条約(UNFCC)の締約国会議(COP15)での決着を目指し各国の駆け引きは激しくなっている。

交渉では約190カ国の国益がぶつかる。交渉の微妙なかじ取りを担うデブア事務局長は「交渉は生易しくない。だが、世界の炭素排出の傾向を変え、経済成長のあり様を変えるのに残された時間は少ない。コペンハーゲンの会議は失敗できない」と、覚悟のほどを見せた。

いつものごとく受け答えはそつがない。加盟国批判はおくびにも出さない。日本では経済産業省や産業界の削減消極派と環境省など積極派との間で激しい対立があるのを百も承知。政府が検討中の排出削減目標案へのコメントを求めても「私は日本政府の人間ではないから」と巧みにかわした。

会議まで10カ月を切って交渉の落としどころが見えないままというわけにもいかない。それを意識してか、「(排出削減目標の)数字が小さくても温暖化防止の取り組みが小さいことを意味しないし、大きくても大きな努力を意味しない」と意味深長な発言。省エネが進む日本に配慮したリップサービスなのか。

米国オバマ政権の2020年の目標が低過ぎるのではとの質問にもいろいろな数字を出してかばってみせた。ブッシュ前政権の消極姿勢からようやく転じたので、水はかけないという配慮かもしれない。

2年前のバリ島での締約国会議(COP13)では中国から運営を厳しく批難されて、壇上で涙を見せた。過去の記者会見で笑顔を見たことがないが、コペンハーゲンでは笑顔を見せるのだろうか。

ゲスト / Guest

  • イヴォ・デブア / Yvo de Boer

    オランダ / Netherlands

    国連気候変動枠組み条約事務局長 / Secretary-General, UNFCCC

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