会見リポート
2009年01月27日
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竹森俊平・慶應義塾大学教授「2009年経済見通し」
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全治5~6年の激震度
松本 明男 (日刊工業新聞客員論説委員)
ウォール街の“高レバレッジ金融(信用バブル)と過剰消費依存の成長ビジネスモデル”崩壊の危険性を早くから予報し、近著の『資本主義は嫌いですか』(08年経済・経営書のベストワン)で警鐘を鳴らした気鋭の竹森俊平教授は、明晰な切り口で金融危機の病状を診断し、世界同時大不況脱却の処方せんを浮き彫りにしてくれた。
竹森さんは今回の経済危機の調整の「長さ」と「深さ」を探る手がかりとして過去の世界各国の金融危機における4つの平均値被害度▽住宅価格の下落率36%、下落期間6年▽株価の下落率56%、同3・4年▽失業率7%増、上昇期間4・8年▽実質GDPの下落率9・3%、下落期間1・9年─をもとに分析する。
このモデルで推計すると、最も早く底入れするのは実質GDPベースで2010年後半。金融危機の震源となった住宅価格の下落が底打ちするのは2012年になる。“全治5~6年”の長い不況と診断する。住宅価格の下落はこれまで約20%。これに伴う金融機関の損失はIMF推計で200兆円。さらに20%下落し底入れ完了するとみる。今回の危機の激震度はすさまじい。
GDP1500兆円の米国が回復するには2年間で210兆円(年率7%)のデフレ・ギャップに対応する必要があるとし、需要波及効果の大きい公共投資に傾斜した巨額の財政追加出動を促す。74兆円の1次景気対策では浮揚力不足という。
ゲスト / Guest
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竹森俊平 / Syunpei TAKEMORI
日本 / Japan
慶応義塾大学教授 / Professor, Keio University
研究テーマ:2009年経済見通し
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