2008年12月15日 00:00 〜 00:00
菅直人・民主党代表代行

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会見リポート

自民離党予備軍にアピール

倉重 篤郎 (毎日新聞編集局次長)

まずは、官僚コントロール術。菅氏によると、国会の第一の機能は国民に代わって首相を決めること(首班指名)で、国民主権とは国民が国会を通じて、つまり首相が組織した内閣を通じてその傘下にある行政をコントロールすることである。

いわば立法府の行政府に対する優越。「日本には三権分立はありません」との菅流憲法解釈論を展開、実践論として、首班指名から組閣まで最低3日間置き、官僚からの振り付けを排除して内閣としての基本方針を決める。閣議が事務次官会議の追認機関化していることを是正、事務次官会議の司会を事務(官僚)ではなく政務(政治家)の官房副長官が取り仕切る──など具体案も示した。

政局についても答えは明解だった。自民党内でも異論のある定額給付金を盛り込んだ二次補正を麻生政権が本当に国会で落ちこぼれなく可決できるのか、としたうえで「1、2月に麻生政権が行き詰まることは十分ある」と断言、その際には選挙管理内閣で補正予算など緊急の経済危機対策を講じることになるだろう、との見通しを述べた。

選挙後については、二大政党による政権交代をシステム化することを最優先する、とのこと。選挙後に参院民主の数不足対策でミニ連立はありうる、とはしたものの、一部自民党が期待する自民、民主両党が互いに大きく組み替わる大再編については消極的な見立てだった。

多分最も言いたかったのは次の一言だろう。「選挙前に(自民党から)野党としての選挙を覚悟で飛び出す人がいれば対応をきちんと考えなければならない」。

自民党の離党予備軍がこのメッセージをどう受け止めるか。年末段階では、渡辺喜美元行革相たった一人の造反のみ。会報が出る頃には一体何が見えてくるのか。

ゲスト / Guest

  • 菅直人 / Naoto Kan

    日本 / Japan

    民主党代表代行 / Acting leader, Democratic Party of Japan (DPJ)

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