2008年12月18日 00:00 〜 00:00
津島雄二・自民党税制調査会会長/藤井裕久・民主党税制調査会会長

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会見リポート

税制のあり方めぐり直接対決:国民の覚悟と政治家の信念

名村 晃一 (テレビ朝日報道局ニュース情報センター経済担当部長)

経済危機に対処するには、すべての常識を疑ってかからなければならない。金融政策も「何でもあり」なのだから税制にもサプライズがあってもいい。そんな勝手なことを考えながら両氏の直接対決を興味深く聞いた。

「政府税調は与党税調に引っ張られている。これはよくない」

藤井氏はまず、税を決める仕組みにひずみがあると批判した。

政府税調が十分に機能していない状況を、まま目にする。来年度の税制改正論議にしてもそうだった。政府税調の会合では経済危機のただ中にいるという危機感は感じられず、答申にいたっては主要税目について触れていない。これでは与党税調に気をつかって議論自体を自主規制したとかんぐられても仕方ない。藤井氏ならずとも政府税調のあり方に疑問をいだく国民は多いと思うが、津島氏は持論で応酬した。

「議会制民主主義の原点は税。だから税は立法府で決められるべきだ。断じて政府が決めるものではない。これまで、その良き伝統を守ってきた」

国民の審判を受けた政治家が税に責任を持つという信念を強く訴えた。

では、民主党が政権をとったらどういう態勢で臨むのか。

「強力な政府税調をつくる。メンバーは国会議員。議員でない今の政府税調は勉強会程度のものでいい」

藤井氏も政治家が税制に責任を持つことにこだわった。

両氏の主張は根底では同じだ。ならば現在の政府税調のあり方を変えることもたやすい。政府税調改革が実現すれば、失礼ながら予算の無駄を省くことにもなりはしないか。

その「無駄の排除」という点で両氏が対立したのは消費税をめぐってだった。

「消費税は基幹税である。長寿社会に対応するのはオールジャパン(全国民が関係する)の消費税しかない。ただ、その前に予算の無駄があるではないか。これをなくすことが先だ」

藤井氏がけん制すると津島氏はこう反論した。

「無駄を排除するまで税率を上げてはいけないというのなら、それまで思考停止しろと言っているようなものだ。これだけの長寿国家だ。無駄を省くまで待っていろと言えるような状況ではない」

消費税問題に奇策はありえない。税制の根本を変えるのは国民の覚悟と政治家の信念がマッチしたタイミングしかない。

ゲスト / Guest

  • 津島雄二 / Yuji TSUSHIMA

    日本 / Japan

    自民党税制調査会会長

  • 藤井裕久 / Hirohisa Fujii

    日本 / Japan

    税制調査会会長

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