2008年09月05日 00:00 〜 00:00
増田寛也・総務相

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会見リポート

分権改革もまだ道半ば

松本 克夫 (日本経済新聞出身)

福田首相の突然の辞意表明の後だったから、時期が悪かった。力強く抱負を語るわけにもいかず、分権改革の見通しを中心に淡々と語るにとどまった。

印象に残ったのは、道州制よりも分権が先だとして、自民党内の議論をけん制したこと。「分権の議論を先送りするために、道州制を唱える人もいるが、現行制度の下で分権改革を着実に実施していくことが大事。道州制は、知事を議会が制御できるか否かが重要な点だ。分権改革を仕上げて、議会を通じた制御に慣れていかなければならない」と強調した。

分権改革では、年末までに地方分権改革推進委員会(丹羽宇一郎委員長)の第2次勧告が予定されている。そこでは、国の出先機関の整理がテーマになる。出先機関の職員数は20万人強だが、そのうち「5万─6万人が従事している事業が大いに議論になる」見通しである。特に、国土交通省の地方整備局が担当している道路や河川の整備・管理の地方への一部移管については、「できるだけ先行実施したい」という。

もっとも、内閣が強い指導力を発揮しなければ、各省が分権や出先機関の整理に従うはずもない。次の内閣に期待するしかない。

かつての改革派知事として、地方の期待を担って入閣して1年余り。暴れまくった印象は薄い。執念を燃やした分権改革もまだ道半ばだ。「知事はトップであり、人事権と予算を握っているが、総務相はほかの閣僚と同じ立場。首相の力を借りなければならない」ともどかしさを語る。

「最後は世論。国民の力をいかに引き出すかにかかっている」と力を込めたが、総選挙でも分権は争点になりそうもない。単身乗り込んだものの、政府・与党を内部から突き動かす難しさを痛感したようだ。

ゲスト / Guest

  • 増田寛也 / Hiroya Masuda

    日本 / Japan

    総務相 / Minister for Internal Affairs and Communications

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