2008年07月03日 00:00 〜 00:00
ギデオン・エズラ・イスラエル環境保護相

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会見リポート

「戦争回避は義務」見えぬ真意

中井 康朗 (読売新聞論説委員)

パレスチナの持続的な経済開発を通じ、中東和平を側面から支援しようという「平和と繁栄の回廊」構想。この日本提唱のヨルダン川西岸開発プロジェクトの具体化に向け、日本、イスラエル、パレスチナ、ヨルダン4者が協議する閣僚級会合に出席のため来日した。

公安警察に30数年所属した国内治安のプロ。その経歴から、眼光人を射るタイプの登場を予想していたら、温厚篤実を絵に描いたような老紳士が現れた。

「イスラエルは戦争がどんなものであるか、嫌と言うほど知っています。従って、戦争回避のためあらゆる措置を講じることを義務だと考えています」

イスラエルは6月、パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスとの停戦に合意した。その背景を問われた時の答えだが、4次にわたる中東戦争以降も、イスラエルが局面によっては強面ぶりを発揮してきたことを思い返すと、すんなりとは受けとめられない感じも持った。

ただ、敵対関係にあるシリアとも8年ぶりに和平交渉を再開し、レバノンのシーア派組織ヒズボラとは捕虜交換の準備を始めた(その後、実現)。最近のイスラエルに、路線転換ムードが漂っているのも事実。

不正献金疑惑で窮地に立たされているオルメルト首相が、国民の厳しい視線を外へとそらそうとしているのだろうか。「首相は強い指導者。それは、ない」と、自ら属する与党カディマの党首をかばった。

それとも、核開発を進めるイランにすべての神経を集中するため、当面、脅威度の低い相手には柔らかく接するという戦略なのか。「あらゆる可能な手だてをとる」。当然だが、どのようにでも解釈できる答えしか返ってこなかった。

ゲスト / Guest

  • ギデオン・エズラ / Gideon Ezra

    イスラエル / Israel

    環境保護相 / Minister of Environmental Protection

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