2008年04月14日 00:00 〜 00:00
エドワード・ライス・在日米軍司令官

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会見リポート

冷静に主張と釈明を

久江 雅彦 (共同通信政治部次長)

2月25日の着任2週間前、沖縄県で米海兵隊員が女子中学生を暴行したとして逮捕され、3月19日には神奈川県横須賀市で米海軍一等兵によるタクシー運転手刺殺事件が起きた。会見では「数人の行為で安全保障上の重要な問題を見失ってはいけない」と米軍駐留の負の側面を原則論でかわしながら、即応態勢へ機能強化が進む在日米軍のトップとして日米同盟は「死活的に重要だ」と力説。主張と釈明が交錯する会見となった。

すべての事案で起訴前の容疑者の身柄引き渡しを可能とするよう関係自治体が求める日米地位協定改定を拒否。米軍駐留経費の日本側負担の延長問題についても「在日米軍と同じ防衛力を日本が自前で持とうとすれば、現在の駐留経費負担のはるか何倍もの金がかかるだろう」とコスト分担を打ち出し、娯楽費で不利な状況を捉えて逆に米軍の存在意義をアピールするしたたかさも見せた。

一方で「最優先課題」に掲げたのが、安全保障の基盤整備とも言える在日米軍再編の進展だ。アジア太平洋地域の航空戦力を統合運用するために新設された「ケニー司令部」(ハワイ)の司令官として再編に深く関与してきた証左だろう。

普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)への移設計画にも触れ「日米両政府の固い合意であり、実行に移す段階だ。私の任期中に大きな進展があり、完了期限の2014年には間に合うと楽観している」と言い切った。

海兵隊の反対を押し切り、第3海兵機動展開部隊8千人のグアム移転計画をまとめ上げた米政府。普天間飛行場に起因する航空機やヘリの墜落事故が起きれば、同盟は揺らぎかねない。司令官の発言は∧約束が守れるかどうか。後は日本政府と沖縄の調整の問題であり、これ以上の先送りは許されない∨というメッセージと受け取れる。

ゲスト / Guest

  • エドワード・ライス / Lieutenant General Edward A. Rice

    アメリカ / USA

    在日米軍司令官 / Commander, U.S. Forces Japan, and Commander, 5th Air Force

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