2008年03月10日 00:00 〜 00:00
津島雄二・自民党税調会長

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会見リポート

思考停止をやめよう

長谷部 剛 (日本経済新聞編集局総務)

小泉、安倍政権のときに力を持った市場重視の考え方への批判が次々に飛び出した。

米国のフーバー大統領は、政府はムダなことやくだらないことを増やす仕事をすると言ったが、その後、大恐慌になった」

「国際的な資源企業の寡占化がものすごい勢いで進み、サブプライム問題では金融システムが揺らいだ。市場に任せればうまくいくというのとは逆のことが起きている」

「外国人の言い分をそのまま受け入れることはできない。プラザ合意のときは米国のいう通りやってバブルを招いたではないか」

市場重視派は思考停止状態に陥っていると強調する。

道路特定財源の問題では「ムダなものをつくるな」といい、霞ヶ関埋蔵金問題では「ムダを削れ」というが、それだけでは前に進めない。思考停止をやめて税財政の機能を取り戻すべきだという。

ここは今回の会見のポイントだろう。津島税調会長は財政再建ではなく財政機能の回復と言ったのである。これは財政赤字の削減だけを考えているのではないという意味に受け取れる。実際、地方への財源配分を訴えるなど、むしろ税の使い道のほうをより多く語った。

有数の政策通だし、語り口も穏やかで議論に粗さは感じないが、その立ち位置は伝統的な自民党政治家のそれである。

ゲストにお願いする恒例の揮毫では「再生」と書き、会見の冒頭では株価下落への危機感を語った。

津島会長の言う財政機能の回復で日本の再生ができるのかどうか。少なくても、市場が求めている答えとは別のものだと感じた。

ゲスト / Guest

  • 津島雄二 / Yuji TSUSHIMA

    日本 / Japan

    自民党税調会長 / Tax Commission, LDP

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