2008年03月05日 00:00 〜 00:00
スティエパン・メシッチ・クロアチア大統領

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会見リポート

コソボ独立に正当性

柳迫 勇人 (日本経済新聞国際部)

国連暫定統治下にあったコソボ自治州が2月17日にセルビアから独立を宣言した。そんな中、登壇したクロアチアのメシッチ大統領はクロアチアが隣国セルビアとともに構成した旧ユーゴスラビア連邦の最後の幹部会議長(国家元首)を務めた人物だ。民族や宗教をめぐる世界の対立の縮図だった旧ユーゴについて大統領は「簡単ではないが、何も美化せず真実を伝えたい」と切り出した。

「コソボは旧ユーゴの憲法で連邦の6つの共和国と同等の権利を持つ自治州だった。独立する権利はある」

メシッチ大統領はこう強調しコソボ独立の正当性に理解を示し、国家承認に前向きな姿勢を見せた。(3月19日に承認声明を発表)

セルビアに対して「コソボ独立はセルビアの誤った政策が招いた結果」とけん制しつつも「コソボへの報復は結局、自らを傷つけることになるとわかってほしい」と呼びかけた。

一方、独立に反対する国々に対し「ロシアなどで同じことが起こるとは思わない。まったく違う状況にある」と述べ、バルカン半島に新たな紛争が起こるとの一部の懸念にも否定的な見方を示した。

大統領は旧ユーゴ連邦が崩壊し共和国間の内戦が繰り広げられた歴史を振り返り、自国を含め「あらゆる戦争犯罪人は裁かれなくてはならない」と断言。国連の旧ユーゴ戦争犯罪法廷に積極的に協力する姿勢も強調した。

この日はクロアチアが日本と国交を結んでちょうど15年。日本との経済関係強化に意欲を示した。北大西洋条約機構(NATO)に今春加盟、欧州連合(EU)に2010年加盟する見通しを示し、「世界の平和と発展に尽くしたい」と結んだ。

ゲスト / Guest

  • スティエパン・メシッチ / Stjepan Mesić

    クロアチア / Croatia

    大統領 / President

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