2008年03月07日 00:00 〜 00:00
ナーフィア・アリー・ナーフィア・スーダン大統領補佐官

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会見リポート

ダルフール西側報道を批判

吉田 正也 (東京新聞論説委員)

「スーダンは石油など天然資源が豊富だ。国土や耕作地は広く、水資源も豊かで、穀物から果物まで農業のポテンシャルはアフリカ一だ」

ナーフィア大統領補佐官は、もともと農学博士の学位をもつ農業の専門家だけに、会見の冒頭にスーダンの農業の紹介も忘れない。

高村外相の招待で訪日した大統領補佐官は、「ここ数年、高い経済成長率を記録し、インフレの抑制にも成功して為替も安定している」と強調した。そのうえで、油田開発などに中国や韓国、インド、湾岸諸国からの投資が相次いでいることを挙げて、日本からの投資拡大を訴えた。

大統領補佐官はスーダンの開発政策などについて、穏やかな口調で語りかけ、スーダンの発展を願う心情を伝えようと努めていた。しかし、テーマが報道人の関心の高いダルフール紛争に移ると、言葉は一転、激しくなった。

スーダンでは20年余にわたる内戦で約2百万人が死亡したと言われる。2003年からのダルフール紛争は、約20万人が死亡したと伝えられている「世界最大の人道危機」だ。

ナーフィア補佐官は「ダルフール紛争は当初、部族同士の小競り合いから始まったが、国際勢力に巻き込まれて複雑になった」と説明。さらに、「ダルフールの自治区では、報道とは違い、正常な生活を送っておりダルフールの治安は95%以上回復している」と言い切った。

また、紛争の犠牲者数についての質問にも「推定で約1万人と聞いている」とあっさりかわした。

ナーフィア補佐官は「西側の報道でゆがめられた事実がまかり通っている」と痛烈に批判する。スーダン政府の行動に対する厳しい国際世論に挑戦する─そんな印象を与える会見だった。

ゲスト / Guest

  • ナーフィア・アリー・ナーフィア

    スーダン / Sudan

    大統領補佐官 / Presidential Aide

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