2007年12月05日 00:00 〜 00:00
GUAM各国副外相

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会見リポート

出口なき民族紛争に危機感

松島 芳彦 (共同通信編集委員)

GUAMと聞いて加盟国がすぐに頭に浮かぶ人はわずかだろう。そんなGUAMも、ウクライナ、グルジア、モルドバ、アゼルバイジャンがロシアからの自立を目指して結成してから10年の歴史を刻んだ。

会見冒頭「反ロシア連合との見方も」と紹介されると、ウクライナのヴェセロフスキー副外相が苦笑して、隣のムサイェフ・アゼルバイジャン外務省局長と顔を見合わせた。旧ソ連圏で展開される米国とロシアの綱引きをにらみつつ、加盟国が微妙なかじ取りを迫られる状況は今も変わらない。ウズベキスタンの参加と脱退も、対米、対ロ外交の軌道修正と無関係ではなかった。

モルドバを除く加盟国代表とチェチェラシビリ事務局長は、日本との「GUAM+1」会合のために来日。会見では「欧州とアジアの架け橋」「カスピ海資源開発」という戦略性を新たな方向性として強調した。しかし「欧州基準の民主主義と市場経済」という理念には、大国路線にこだわるロシアのプーチン政権への強い警戒感がにじむ。日本との対話にもロシアけん制の隠し味がある。

反政府デモに非常事態を導入したグルジア。「クーデターの危険があったからだ」。GUAM各国が国内情勢に足を取られ、地政学的な強みを国際舞台での存在感に変えられないジレンマが、ワシャキッゼ・グルジア副外相の応答に感じられた。

「協力の具体的成果」として国連に共同提出した長期紛争解決の決議案は、域内に抱えるソ連時代からの民族紛争に出口が見えない危機感の表れでもあるのだろう。


ゲスト / Guest

  • GUAM各国副外相 / Senior Vice-Ministesr for Foreign Affairs of GUAM

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