2007年11月05日 00:00 〜 00:00
篠原尚之・財務官

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会見リポート

金融市場混乱 自律的調整へ

今松 英悦 (毎日新聞論説委員)

歴代財務官には個性の強い人が多い。通貨マフィアといえば海千山千のつわもの揃いだ。日本の言い分を通していくためには、出過ぎるぐらいでなければ務まらなかったことは間違いない。7月に財務官に就いた篠原氏も個性は強いものの、市場を無理矢理ねじ伏せるといった考え方は持ち合わせていない。市場重視派である。為替市場介入も「乱高下をなだらかにするぐらいのこと」と、市場の自己調整能力に信を置く。

渡辺博史前財務官時代に為替市場介入はゼロだったが、篠原時代も円売り介入の場面はまずなさそうだ。こうした考え方は、旧国際金融局、国際局で総務課長、次長、局長と要職を歴任し、国際機関も経験する中で、おのずと身に付いたのだろう。

10月19日の先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は、時節柄、米国のサブプライムローン問題やそれに端を発した金融市場の混乱が最大のテーマだった。その点に関して、篠原氏は明快である。

「住宅市場の調整には相当の時間が必要だ。しかし、金融市場の混乱収束にはそう時間はかからない」という。サブプライムローンを組み込んだ証券化商品はそう多くはないからというが、市場は自律的に調整するという信念が根底にあるが故の発言だろう。

産油国などの政府が余資で組成しているソブリン・ウエルス・ファンドの規制についても、「どこか抑え込もうとすると副作用の方が大きい」という立場だ。「市場は足の速い資金、足の遅い資金などいろいろあって弾力性が出る」という発言も市場重視論者ならではのものだ。

来年の洞爺湖サミットに向け、篠原氏が世界の不均衡是正や投機資金規制でどのような

ゲスト / Guest

  • 篠原尚之 / Noyuki Shinohara

    日本 / Japan

    財務官 / Vice Minister of Finance for International Affairs

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