2007年11月30日 00:00 〜 00:00
吉村博人・警察庁長官

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会見リポート

全面的「可視化」導入は否定

弓削いく子 (フジテレビジョン社会部)

私はテレビ局に勤めながら、「カメラ」というものが苦手だ。どうも、向けられると妙に緊張する。

今や日本人総カメラ時代といってもおかしくないくらい、この「カメラ」というものが普及しているが、昔では予想もできなかった場面でも登場しようとしている。

そういう意味で、警察を取り巻く現状は厳しい。裁判員制度のスタートを前に、取り調べを録音・録画する「可視化」の議論が加速しているからだ。

かねてから可視化導入に「慎重論」を表明してきた吉村長官はこの日、もはや議論は避けて通れないとして「柔軟に考えたい」と語りつつも、「100%全部、録音・録画することは到底ありえないと思う」と「全面的」な可視化には否定的な立場を強調した。

鹿児島や富山の無罪判決を受けて「取り調べの適正化」を求められる中、警察は「捜査部門以外の部門によるチェック」「取り調べ室にマイク」「のぞき窓」などを打ち出すことを検討している。

一線の捜査員は心の中を明かす。
「実質的な取り調べができず、かえって事件が埋もれてしまうのでは」「個室の中で真実を引き出すにはテクニックが必要で、その技術を見られることに正直、抵抗はある」「信頼関係を作ろうとするのに相手に余計な緊張を強いることになるのでは」

手探りの日々が続きそうだ。

警察庁長官が「カメラ」の前で記者の質問に答える機会は少ない。

その「カメラ」の前で、吉村長官は「警察の仕事の根っこは第一線にあることを忘れてはならないと、今ひしひしと感じる」と語り、現場に対する思いの強さをにじませた。

ゲスト / Guest

  • 吉村博人 / Hiroto Yoshimura

    日本 / Japan

    警察庁長官 / Commissioner General

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