2007年11月28日 00:00 〜 00:00
グエン・ミン・チェット・ベトナム国家主席

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会見リポート

経済連携協定来年が節目

気仙 英郎 (産経新聞経済本部編集委員)

「経済連携協定の時期としては両国が国交を樹立して35年目にあたる来年をひとつのメドとしたい」

日本とベトナム間の経済関係強化について語るベトナムのグエン・ミン・チェット国家主席は雄弁だった。

ベトナム商工会議所によれば、今回の国家主席の訪日にはベトナムの企業110社が同行。舞台裏での商談が行われた。これに応えて訪日中に、日本側は、三菱重工業が航空機部品工場の建設を決め、NTTコミュニケーションズは現地にデータセンターを整備する意向を表明した。

会見では、こうした成果を誇示するかのように日・ベトナム投資協定や今年1月にベトナムが世界貿易機関(WTO)に正式加盟するなど投資環境が整備されたことを挙げた。ベトナムは、日本企業によるアジアにおける供給体制見直しの動きを十分に認識している。いわゆる「チャイナ+1」と表現される中国への集中的な投資リスクを分散する日本企業の動きのことだが、これに対して素早い対応をしているベトナム政府の意図が強く感じられた。

だが、経済面での積極発言とは裏腹に、政治・外交面での発言は曖昧さが目立った。中国との関係を問われ「日増しに仲良くなれるように頑張っている」と抽象的な表現にとどまった。

ベトナムは、来年から2年間、国連安全保障理事会の非常任理事国を務める。日本人拉致問題の解決などで北朝鮮への働きかけに対する期待も高い。日本は、政府開発援助(ODA)を拡大し、今後、一段と政治的な緊密度を強める方向だが、経済協力をテコに外交的な成果をバランスさせる姿勢も忘れてはならないだろう。

ゲスト / Guest

  • グエン・ミン・チェット / Nguyen Minh Triet

    ベトナム社会主義共和国 / Socialist Republic of Vietnam

    ベトナム国家主席 / President of Socialist Republic of Vietnam

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