2007年10月31日 00:00 〜 00:00
志位和夫・共産党委員長

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会見リポート

選挙区新方針、単純な見方否定

榊原 元廣 (共同通信記事審査委員)

志位委員長に対し会場がいちばん聞きたいと思っていたのは、共産党の衆院選挙戦略転換の真意と展望だった。次期衆院選の小選挙区立候補を先の参院選比例代表の得票率が8%以上の選挙区に絞るとの新方針。これが歓迎、恐怖と分かれるが、民主党、自民党どちらにも大きな波紋を広げている。

民主党選対は、候補を立てない選挙区でも共産党票は1、2万票あるが、その票は間違っても自民党には流れないと、早くも皮算用が進んでいる。自民党などでは、総選挙の結果次第で、民主党政権に共産党が加わってくるのではないかとの疑念も生じている。あるいはことさらそのことを宣伝しようとしている風もある。

志位氏は8%以下の選挙区での候補擁立見送り方針を党の力をリアルに判断した結果だとし、「政局狙いで、どっかの党を利する判断で行ったことではない」と繰り返し強調した。これまで共産党候補に入れていた票の行方については「支持者が自民党、公明党に入れるとはなかなか考えられない」と本音を漏らしながらも、「民主党の候補に入れるかどうかも分からない。白票かも分からない。政党がどういう態度を取るか、候補者によっても違う」と言って、単純な見方を否定した。しかし共産党の新方針が衆院選に大きな影響をもたらすことはなかなか否定しがたく、そうした効果も志位氏ら幹部はよく分かっているはずだ。また当選のおぼつかない候補を立てることが結果的に自民党を利してしまうことのジレンマに直面していることは理解できる。

とりあえず3百万円の供託金を没収される負担からは解放される。だが結果が良くなければ、共産党は支持基盤を失い、消滅の危機に立つことにもなりかねない。

ゲスト / Guest

  • 志位和夫 / Kazuo Ishii

    日本 / Japan

    共産党委員長 / Chairman of communist party

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