2007年08月30日 00:00 〜 00:00
江田五月・参議院議長

申し込み締め切り

会見詳録

会見音声


会見リポート

もうカーボンコピーとは言わせない

城本 勝 (NHK解説委員)

自らも激戦区で陣頭指揮をとった参院選の大勝で、55年体制以降初めて野党が奪った参院議長の座に。77年に亡父三郎氏の遺志を継ぎ政界入りして30年。日焼けの跡が残る江田氏の表情からは、節目の年に重責に就いた感慨が感じられた。

話題は、終始、衆参のねじれという新たな政治状況の中で、いかに日本の民主主義を前進させるかという「江田五月の民主主義論」だった。

「日本の二院制が機能するか、失敗するかが問われる」と与野党が十分議論すべきだと強調した。民主主義の5原則として①情報共有②公開討論③相互浸透④多数決原理⑤少数意見尊重をあげ、とりわけ「野党が与党と対等の情報を共有することが大事」と国政調査権の発動に積極姿勢を見せた。

「議長の立場を離れて言うが」という前置きつきだったが「野党多数の下、参院先議の議員立法が増える。野党が政権をとればこういう法案が出ると国民に見せていくのではないか」「民主党はまだお試し期間。数にものを言わせて議長の意向をねじ伏せることにはならないと思う」などと、臨時国会に向けた民主党の戦略の一端を垣間見せた。

「両院協議会を秘密会にせず公開の討論にできないか」「選挙制度改革の問題は避けて通れない」。野党出身の議長として取り組みたい課題は饒舌に語ったが、小沢民主党代表の人物評の質問には「切れ味の良さよりも存在感で勝負しているのは正解だ」と抽象的。もう一つ歯切れが悪かった。

衆参がねじれたことで、異なる二つの民意がぶつかることもあり得る。だがそこからエネルギーが生まれるはずと江田氏は指摘した。「もう衆院のカーボンコピーなどと言わせない」という言葉には、参院側から政治を変えていくのだという強い意欲が感じられた。

ゲスト / Guest

  • 江田五月 / Satsuki Eda

    日本 / Japan

    参議院議長 / President of House of Councilors

ページのTOPへ