2007年08月08日 00:00 〜 00:00
香西泰・政府税制調査会会長

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会見リポート

慎重な言い回しに終始

川口 雅浩 (毎日新聞経済部)

7月の参院選で自民党が敗北した直後だけに、年末の税制改正に向けた香西政府税調会長の発言は注目度が高かった。最大の焦点は消費税率の引き上げについて、香西会長がどこまで具体的に言及するかだったが、多くの参加者の期待に反して、香西会長は慎重な言い回しに終始した。

冒頭、司会者の質問は精ちで巧みな誘導尋問のようだった。「経済成長と財政再建を両立するため、政府税調としては消費税を上げて、法人税を軽くする方向に向かうという理解でよろしいか」。司会者は香西会長が「方向性としてはその通りだが‥‥」と回答し、持論を展開するのを期待していたことだろう。

しかし、香西会長は「そう理解されてしまっては、よろしくない。税調としては、まだ何の結論も出していない」と、ユーモアたっぷりに即答。参院選の自民党敗北後にマスコミで相次ぐ「年内の消費税率引き上げ決定は困難」との報道を、やんわりとけん制した。

香西会長は「世界的な傾向として、所得税率の引き上げは難しくなっている。社会保障のためには、消費税は一番つかみやすい税金だ」と述べ、「所得課税から消費課税への世界的潮流」を評価したが、「9月以降、答申に向けて十分に議論しないといけない」と述べるにとどまった。

秋以降の税制改正議論のスピード感に質問が及ぶと、香西会長は「スピード感はあった方がよいが、税は唯一の立法機関である国会で決まる」と述べ、与党税調の関与が大きい現実をあらためて直視。「政治情勢のことはわからないので、秋以降はとりあえず作業を行っていきたい」とも述べ、消費税率引き上げの年内決定は無理でも、将来に向けた議論は必要との考えを最大限ににじませた。

ゲスト / Guest

  • 香西泰 / Yutaka Kousai

    日本 / Japan

    政府税制調査会会長 / Chairman, The Tax Commission of Government of Japan

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