2007年06月28日 00:00 〜 00:00
ローヒタ・ボーゴラガマ・スリランカ外相


会見リポート

テロ対策には民主的アプローチを

安達 一成 (毎日新聞佐賀支局次長)

06年8月、スリランカ政府と反政府武装組織「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」の本格的戦闘が再開した。今年3~4月には政府側が東~北部でLTTEの掃討作戦を行い、空爆も実施した。

こうした状況に「02年の停戦合意は崩壊し、事実上、内戦状態に戻ってしまった」との指摘も人権擁護団体などから出されている。

ボ外相は、スリランカの治安情勢が一変したまさにその年である06年、2度にわたって開かれた政府とLTTEとの和平交渉で政府側報道官を務めた人物だ。会見では当時を振り返り、LTTEの▽残虐行為▽国際法で認められている年齢に達しない少年兵のリクルート──などについて、国際社会に知ってもらうことができたと語った。

言葉の端々に「テロ組織・LTTEは許さない」との意志と、政府こそが状況を動かしているとの自負がにじんでいた。「以前よりLTTEは弱体化したのではないか」「少年少女を兵士にリクルートしたのは、追い詰められていたからだ」「統制力がなくなっている」──。

昨年8月以来、北~東部だけで万単位の犠牲者が出たといわれる。一方、コロンボ市内でも政府軍などを狙ったLTTEによるとされるテロが起きており、その対象は一般のタミル人にも広がっている。ここに来てLTTEは独自の「空軍力」でスリランカ空軍基地を攻撃している。

こうした状況の中、ボ外相はテロ対策について「民主的アプローチをすべきだと信じている」と述べ、交渉による平和構築を目指すとの考えを改めて強調した。

だが、政府、LTTEの間で過去30年以上にわたって蓄積された相互不信は解消されたとはいえない。和平交渉も進んでおらず、スリランカの先行きはなお不透明なままだ。今後も注目し続ける必要がありそうだ。

ゲスト / Guest

  • ローヒタ・ボーゴラガマ / Rohitha BOGOLLAGAMA

    スリランカ / Sri Lanka

    外相 / Foreign Minister

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