2007年06月14日 00:00 〜 00:00
フン・セン・カンボジア首相

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会見リポート

トップセールスの成果は?

大江 志伸 (読売新聞論説委員)

一国の指導者が率先して自国製品の販路開拓に奔走するトップセールスが盛んだ。この分野では“おくて”だった日本も、安倍首相が外遊に財界人を同行させるなど、積極姿勢に転じた。

そうした国際潮流もあってだろうか。東南アジア諸国きっての知日派、カンボジアのフン・セン首相は、15回目の訪日となった今回、自国への投資を呼びかけるトップセールスを展開した。

安倍首相との首脳会談では、「新たなパートナーシップに関する共同声明」に署名し、その具体策となる投資協定を結んだ。

「カンボジアは日本からの投資、観光に期待をかけている」「国策として2012年をめどに地雷ゼロ運動を推進している」「危険な国ではない。是非安心して投資を」

記者クラブでのフン・セン首相の表情には自信があふれていた。

昨今のカンボジア経済の好調ぶりを見れば、あふれる自信も当然か。カンボジアが念願の世界貿易機関(WTO)加盟を果たしたのが2004年。以来、同国経済は年率10%超の高成長を記録している。

経済特区の設置など政府の優遇策もあって、中国、韓国、タイ、マレーシアといった外国企業の参入が増えている。だが、最大の援助国、日本からの投資は全体の1%にも満たないのが難点だ。さらなる成長の維持には、日本企業の投資が不可欠、というのが首相の本音でもあろう。

東南アジア諸国への浸透著しい中国に触れながら、さりげなく語った首相の一言が印象的だった。「(投資は)早いほうが得ですよ」──。どの国にせよ、チャイナカードは対日交渉の切り札となりつつある。
 

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