2007年06月01日 00:00 〜 00:00
中川昭一・自民党政調会長

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会見リポート

納得できる説明に程遠く

井芹 浩文 (共同通信客員論説委員)

中川昭一氏は小泉政権から安倍政権までほぼ出ずっぱり。昨年11月に招いたばかりだが、またの登場となった。日ごろ威勢のいい発言で知られるが、今回はテーマが年金問題とあって、どうも歯切れが悪かった。

最近の国会審議について「法案最終段階で民主党が審議拒否などということがある」「不信任案の提案理由の説明は中身が薄いのに、2時間もあった。節度があってしかるべきだ」と野党へのうらみ節から始まったのは中川氏らしくなかった。

今国会はどちらかというと与党側の単独強行の場面が目立ち、野党側が押しまくられていた。野党側が元気付いているのはつい最近のことだ。それにもかかわらず中川氏がうらみを並べ立てたところに現在の与党の苦境が読み取れた。

与党の政策責任者から是非とも聞きたかったのは、現在の与党苦境の原因となっている年金問題打開への道筋をどう付けようとしているかだった。

しかし肝心の部分になると中川氏の説明は弱い。5年時効の撤廃というのは理解できるが、それもデータが復元できた人だけの話だ。「外注やコンピューター(強化)」で予算措置するというが、民主党が主張するようなマイクロフィルムデータや市町村に保管されている紙ベースのデータとの照合には言及がなかった。

最後は社会保険庁に加えて資源エネルギー庁とか林野庁、水産庁など「外庁」の全面見直し(廃止?)に言及し、本人として留飲を下げたつもりかもしれないが、宙に浮いた年金データの復元作業という、長くかつ困難な事務作業とは無関係。

自民党の政策責任者がこの程度の説明しかできないとなれば、国民を説得することはまず無理ではないか。

ゲスト / Guest

  • 中川昭一 / Shouichi Nakagawa

    日本 / Japan

    自民党政調会長 / Chairman, Policy Research Council of the Liberal Democratic Party(LDP)

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