2007年05月31日 00:00 〜 00:00
佐々木智弘・アジア経済研究所地域研究センター副主任研究員「中国」6

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会見リポート

党総書記3期の可能性も

丹藤 佳紀 (読売新聞出身)

研究会の終わり近くになって大胆な予測が飛び出した。中国共産党の胡錦濤総書記が、今秋開かれる第17回党大会で再任されるのは当然として、さらに「5年後の第18回大会でもそのポストに留まるだろう」というものだ。

まず「政治報告と人事のふたつが党大会の焦点」というオーソドックスな前置きで始まった。

中国共産党指導者を派閥・年齢・出身母体などさまざまな角度から分析した9種類のリストを含む資料が配られ、若手研究者らしい歯切れのいい説明で進められた。

その要点を示すと、政治的民主化など本質的な議論を抜いた「大衆迎合的なスローガン政治」だという胡錦濤政権への辛口の評価。

ただ、そこにも、温家宝首相の論文に示されたような「公正」への志向があり、それによって江沢民前政権との差別化を図っているというリアルな認識も紹介された。

胡錦濤政権は、江沢民前総書記派の中共上海市委員会書記をバッサリ解任して注目された。しかし、佐々木氏によれば、江沢民前総書記が当時の中共北京市委書記に下した党籍剥奪処分までには至っていない。そこから、党大会の焦点の人事について、前政権から継承した指導部の「総入れ替えを図りたい」と見る。

冒頭に紹介した大胆な予測については「国家主席は2期を超えないと憲法に規定されているが」との質問が出た。それに対して佐々木氏は「党総書記についてはそうした内規はない」と答え、現在は兼任している国家主席と党総書記ポストの分担を図る可能性を示唆した。

胡錦濤政権では「官僚的な人事異動がルール化し、サプライズ人事はできない」という自身の分析とも矛盾する予測だが、次の党大会で一気に“脱皮”するということか。

ゲスト / Guest

  • 佐々木智弘 / Norihiro Sasaki

    日本 / Japan

    アジア経済研究所地域研究センター副主任研究員 / ,Japan External Trade Organization

研究テーマ:中国

研究会回数:6

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