2007年04月13日 00:00 〜 00:00
都甲岳洋・元駐ロシア大使「ロシア」1

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会見リポート

ポスト・プーチンにも言及

田中 和夫 (NHK解説委員)

久しぶりに「ロシア」研究会が始まった。1991年のソ連崩壊前後には「ソ連・ロシア」研究会が盛んに開かれたものだが、その後、途絶えていた。マスコミが「普通の国」になりつつあるロシアに関心を失ったからだろう。

しかし、今、豊富な天然資源を武器に、欧米の警戒感をよそに大国を目指してまっしぐらのプーチン政権下のロシアに、マスコミは再び注目し始めた。やはり、ロシアは「異質な国」でなければおもしろくないということか。

研究会のトップバッターは、エリツィン時代の96年から99年までロシア大使を務めた都甲岳洋さん。

まず、ソ連の崩壊から新生ロシアへの移行、そして最近のプーチン政権の強権化まで、大学の講義のように総括的に説明してくれた。

その上でプーチン政権の強権化の背景には、かつての超大国ソ連への憧憬があること、さらに、その憧憬の裏には西側を潜在的脅威と感じながらも理想郷とも考える国民の複雑な感情があると分析された。ロシア人の心理に精通している都甲さんらしい見方である。

1時間20分の「講義」の後の質疑応答では、ポスト・プーチン問題が面白かった。世間ではメドベージェフ、イワノフの両第一副首相の名が取沙汰されているが、都甲さんは、プーチンの隠し玉として先日来日したヤクーニン・ロシア鉄道社長の名を挙げたのだ。

その根拠に、現在、三井物産戦略研究所の特別顧問である都甲さんが出席された国際フォーラムにヤクーニンが送り込まれたことを挙げ、目的は国際的な人脈作りだろうと推測された。

ロシアとの極太のパイプを持つ都甲さんから始まったシリーズ研究会で、今後のロシアへの関心がますます高まった。

ゲスト / Guest

  • 都甲岳洋 / Takehiro Togo

    日本 / Japan

    元駐ロシア大使 / Former Ambassador of Japan to Russian

研究テーマ:ロシア

研究会回数:1

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