2007年04月25日 00:00 〜 00:00
ローレンス・レペタ・大宮法科大学院大教授「アメリカの底流」5

会見メモ

会見抄録(英文)
http://www.jnpc.or.jp/files/opdf/268.pdf

会見リポート

権力と対立してでも信念を

中井 良則 (毎日新聞論説副委員長)

企画の段階から、かかわったので舞台裏を少し、報告したい。

アメリカ人のものの見方、考え方、アイデンティティーといった文化・価値観を探ろうという「アメリカの底流」研究会。今度は「法律」を切り口に、と考え、日米の法曹に詳しいレペタさんが思い浮かんだ。昨年出版した『闇を撃つ』(日本評論社)では、イラク戦争をめぐり法律を駆使して政府と闘うアメリカ市民15人にインタビューしている。2月15日、メールで講師をお願いした。訴訟社会や内部告発など法と文化の話題がこちらの当初の想定だった。

快諾の返事が来て、3月20日、事務局も交えてクラブで打ち合わせた。「ブッシュ大統領のイラク戦争政策に抵抗した個人3人をとりあげたい」とレペタさん。ニュースにも連動するし、戦争支持から反対に揺れたアメリカ社会の変化を象徴する話でもあり、おもしろそうだ。スピーチは日本語で行い、質問には英語で返事する方式も決めた。

スピーチの英語原稿は事務局で翻訳していただいた。力を入れて書いているので、思ったより時間がかかる。1カ月にわたり1本また1本と五月雨式にメールで届いた。レペタさんは日本語訳のスピーチを、自宅で奥様相手に練習し、本番前夜まで表現を手直ししたらしい。

とりあげたのは、①令状なし盗聴に違憲判決を出した黒人女性のアンナ・ディグス・テイラー判事②違法な戦争だとしてイラク戦争出征を拒否した日系人のアーレン・ワタダ中尉③息子がイラクで戦死し反戦運動のシンボルとなったシンディ・シーアンさん。クラブのウェブサイトでスピーチは読める。

入念な準備のおかげで、権力と対立してでも自分の信念を社会に表明する個人主義とアメリカ社会の奥深さを考える機会となった。

ゲスト / Guest

  • ローレンス・レペタ / Lawrence Repeta

    米国 / USA

    大宮法科大学院大教授 / Professor,Omiya Law School

研究テーマ:アメリカの底流

研究会回数:5

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