2007年04月10日 00:00 〜 00:00
ヌーリー・アル・マリキ・イラク首相

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会見リポート

重い課題を背負って

島崎 淳 (共同通信外信部)

マリキ首相はイラクで試練の日々を送っている。首都バグダッドでは底無しの治安悪化が続き、ブッシュ米大統領が威信をかけて発表した米軍増派、米軍・イラク治安部隊による大規模な掃討作戦の成否が、今後の情勢を左右する。

そんな中での初来日。イラク戦争を支持した「有志連合」の各国部隊が次々撤退する中、日米同盟重視の立場から航空自衛隊の活動延長を決め、巨額の円借款を表明した日本が、イラクにとり最大の友好国の一つであることは疑いない。

会見も「日本は常にイラクの味方だ」などと日本への賛辞と謝意にあふれた。「マスコミが悪いニュースばかり伝えるのも仕方ない面がある」「どんな質問も躊躇する必要はない」などと余裕を見せたのも日本訪問中の気安さからか。

目立ったのはイラクの主権、主体性を強調した発言だ。米軍を中核とする多国籍軍駐留について「イラク政府の承認の下で行われ、国連安保理決議に基づいている」と指摘。米軍撤退については「日程表は必要ない」「イラク側が治安維持に責任を持てるようになることが条件」とし、米軍撤退を決めるのはイラク人だとの考えを示した。

治安対策も含め、さまざまな進展をアピールしたが、離日後の韓国滞在中には議会内で自爆テロが発生。会見での自信に満ちた発言とは裏腹に厳しい現実が浮き彫りになった。

会見はフセイン政権崩壊から4年目の翌日。独裁者は去ったが、イラク人は今も恐怖の中で暮らしている。国民に安心と安全を与え、一日も早く戦禍からの復興を果たすこと。マリキ首相の背負う課題は重い。

ゲスト / Guest

  • ヌーリー・アル・マリキ / Nūrī al-Mālikī

    イラク / Iraq

    首相 / Prime Minister

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