2007年04月09日 00:00 〜 00:00
菅義偉・総務相

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会見リポート

今後も注目集める発言と行動

藤原 秀行 (時事通信経済部)

昨年9月の就任以来、新たな地方分権改革推進法案を短期間で取りまとめるなど行動力を発揮し、安倍内閣で存在感が急上昇。放送法に基づき、短波ラジオ国際放送で北朝鮮による拉致問題を重点的に扱うようNHKに命じるなど、通信・放送分野で物議を醸している。この日も地方分権推進や道州制実現への意欲とともに、放送業界への強硬姿勢が目立ち、今後も菅氏の発言や行動を注視する必要があることを印象付けた。

関西テレビの情報番組「発掘!あるある大事典Ⅱ」によるデータ捏造を受け、総務省は放送法改正案に、捏造番組を流した放送局への新たな行政処分案を盛り込んだ。菅氏は「放送事業者の自浄努力は期待しにくいのかなと思った。あまりに国民の信頼を裏切りすぎている」と厳しく非難。問題発覚後の日本民間放送連盟の対応も「後手に回った」と批判し、処分新設の正当性を主張した。

同時に「政治介入はまったく考えていない。処分は抜かずの宝刀だ」と語り、BPO(放送倫理・番組向上機構)の再発防止策が機能している間は処分発動を凍結すると明言。発動は放送局が捏造を認めた場合に限ると強調した。しかし、法案では発動要件があいまいな点などが問題視されている。放送局が信頼回復に向け、捏造撲滅に努めるとともに、政府の動きを監視することの重要性もあらためて認識させられた。

北海道夕張市の財政再建団体移行を受け、自治体財政の早期健全化を促進する法案を当初予定より前倒しして今国会に提出するなど、地方自治関連の分野では菅氏の素早い対応が目立つ。「地方分権をしっかりと一歩ずつ、着実に進めていきたい」との決意を示しており、国と地方の役割分担見直しが大胆に進むことを期待したい。

ゲスト / Guest

  • 菅義偉 / Yoshihide Suga

    日本 / Japan

    総務相 / Former minister of Internal Affairs and Communications

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