2007年02月02日 00:00 〜 00:00
マッシモ・ダレーマ・イタリア副首相・外相

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会見リポート

イラク解決は多国間主義で

五井 憲子 (共同通信外信部)

委員長を務める左翼民主党(DS)は冷戦終結期、共産党から社会民主主義政党へと変身を遂げ、活路を開いた。既成政党が次々と没落し、イタリア政界が中道左派と中道右派の2大勢力に収れんされた90年代、DSは中道左派連合「オリーブの木」の中核を担う政党に。首相経験もあるが、今回は昨年5月に発足したプローディ政権の副首相兼外相として来日した。

「米ブッシュ大統領の単独主義は誤り。多国間主義が解決策」「外国の軍隊が増派してもイラク和平には寄与しない」。自身の確固たる信念を示すため、イタリア部隊を昨年12月イラクから撤退させたと熱っぽく語った。

朝鮮半島和平や拉致問題などに触れ、対アジア外交強化を力説したのも、米国一辺倒だった中道右派のベルルスコーニ前政権への痛烈な批判からくるものだ。

ローマ特派員時代によく耳にしたイタリア国民のダレーマ評の一つは「良くも悪くも固い」。折しも日本では柳沢厚労相の問題発言騒動の真っただ中。イタリアからは、女性を口説いたベルルスコーニ前首相に妻が公開書簡で謝罪を迫ったとの「強い女」のニュースが届いていた。

ある記者がこの2つを対比させ「イタリアは女性の地位向上にどんな努力をしてきたか」と質問。この質問にイタリア男らしくなく? ユーモアひとつ交えず「男女平等のための諸政策」を“直球”で語ったあたりは、共産党政治家二世の面目躍如か。

連立与党内の造反に伴って起きた最近の国政の混乱は一応、収束に向かったが、議会での与野党伯仲の現状は変わらず、政権ナンバー2として今後も難しい政権運営を強いられそうだ。

ゲスト / Guest

  • マッシモ・ダレーマ / Massimo D'Alema

    イタリア / Italy

    副首相・外相 / Prime Minister and Minister of Foreign Affairs

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