2006年12月1日
| 氏名 | 小菅 正夫 | ||
|---|---|---|---|
| 国 | 日本 | ||
| 肩書 | 旭山動物園長 |
記者による会見リポート(会報から転載)
命を伝える動物園
10年で入園者数を10倍の280万人にするという驚異の集客力。旭山動物園の人気の理由は、小菅園長をはじめとする職員の動物への愛情にあると、あらためて納得した。
アザラシの円柱水槽や、ヒョウを下から見せる頭上展示など、今では、入園者をアッと言わせる施設の斬新さばかりが目につくが、実は旭山の改革は「命」をどう伝えるか、から始まったという。
「命、という言葉、命が大切である、ということを伝えるのは簡単だが、命そのものは言葉では伝えられない。直接動物と触れ合うことで命を感じてもらいたかったのです」
最初に作った施設は、動物本来の行動や能力を見せる旭山独自の手法として全国から注目を浴びている「行動展示」とは関係がない「こども牧場」だった。
その後に作られた数々の施設で貫かれているのも、やはり命だ。オランウータンが手を伸ばしてロープを渡る姿が見れる「空中散歩」。この施設を作ってからオランウータンが活動的になり、子どもも生まれた。
「本来の野生動物に近い生活をしていれば、 希少動物でも繁殖する。そして、動物たちの子育ての姿を子どもたちに見てもらい、 人間の生きる意味を考えるきっかけになってほしい」。 命を見る目は温かい。
「うちの職員は、なんの教育もしていないのに、みんな動物の代弁者になっちゃう」と園長。アイデアとユーモア、行動力にあふれる園長の下で、職員たちが動物の魅力に引き込まれていく姿が浮かんでくる。
「まだ道半ば」と強調する。「旭川と世界が、川や海でつながっていることを伝える環境教育を充実させたい」という目標があるからだ。日本最北の「命を伝える動物園」から、しばらく目が離せない。
北海道新聞東京支社 酒井信太郎

