2006年12月08日 00:00 〜 00:00
北岡伸一・前国連次席大使

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会見リポート

常任理入り一番手は日本

大木 聖馬 (読売新聞国際部)

北岡教授は2004年4月から昨年9月まで、民間人として初めて国連大使に起用された。任期中の昨年7月には北朝鮮のミサイル実験実施を受け、安保理での非難決議採択にたずさわるなど、国連を舞台にした日本外交の最前線で奔走した。そのため、研究会は具体性に富み、時に生々しく、そして説得力のある主張が展開された。

印象的だったのは、教授が「日本の常任理事国入りに反対する国連加盟国はほとんどない」と繰り返したことだ。報道では中韓が歴史認識をめぐって反対する姿勢が目立っていたが、実際の国連外交の舞台では、日本の常任理入りを認める声が大勢を占めるという。ただし、米国は「日本だけなら認める」、パキスタンは「インドが入らなければいい」など、条件をつける国が多い。
各国の利害、思惑が複雑に絡み合うだけに一筋縄ではいかないのが現実だが、「常任理入りの一番手は日本だ」と教授は言い切る。それは現場をかいくぐった経験に裏打ちされた「確信」があるからにほかならない。

だが安保理改革はなかなか進展していない。G4と米国の間で揺れる日本は、改革案提出にこぎつけない状況だ。

それでも教授は「安保理改革が失敗したとは思わない」と前向きだ。多くの政府首脳と接触し、つながりのなかった国と友好関係を築き、日本のプレゼンスを高められたためで、今後、改革を進めていく上で大きな財産となるのだろう。

教授は「東京から改革案提出のゴーサインが出なかった」など、時折悔しさをにじませる場面もあった。在任中、プロパーの官僚を前に思い通りにいかないこともあったようだが、そこに今の日本外交の突破口があるような気がしてならなかった。

ゲスト / Guest

  • 北岡伸一 / Shinichi Kitaoka

    前国連次席大使 / Former Deputy Ambassador to the United Nations

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