2006年12月06日 00:00 〜 00:00
フィリップ・キルシュ・国際刑事裁判所長

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会見リポート

日本に早期加入を促す

矢島 誠司 (産経新聞論説副委員長)

国際刑事裁判所(International Criminal Court=ICC)といっても、日本では、一般的には、まだあまりなじみがない。国際司法裁判所(International Court of Justice=ICJ)との違いを知っている人も多くない。

ICCは1998年にローマでの国際会議で採択されたICC規定に基づき、2003年に発足したばかりの独立機関だ。ジェノサイド(大量殺人)や人道に対する罪などを犯した個人を裁く。

ちなみにICJの方は、国連の常設機関で、60年の長い歴史を持つ。主に国家間の法律的紛争を処理する国際法の権威だ。

ICCには現在、世界の104カ国が加入しているが、日本はまだ加入していない。

そこでICC初代所長となったキルシュ判事(カナダ人)は、その存在意義を説き、日本に早期加入を促すために来日した。

記者会見では、なぜICCが設立されるに至ったか、司法権はあるが執行権は加盟国にしかないというICCの特徴と限界、各国の協力の重要性などを説いた。

「ICCの存在が、すでに重大犯罪に抑止の効果をあげている」とも強調した。

幸い、安倍晋三内閣は今年中にもICCに加入する方針を示しており、キルシュ所長は、「日本の加入は他のアジア諸国の加入をリードするだろう」と歓迎した。

ICCには、米国、ロシア、中国、インドなども未加入だ。米国は海外派遣兵士が訴追される恐れがあるとして反対してきたが、キルシュ氏は控え室で、「米国には純粋に司法活動であることが徐々に理解されてきた」と期待感も示した。

ゲスト / Guest

  • フィリップ・キルシュ / Philippe KIRSCH

    カナダ / Canada

    国際刑事裁判所長 / President, ICC

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