2006年11月10日 00:00 〜 00:00
クロード・マンディル・IEA事務局長

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会見リポート

原子力利用促進で効率性の向上を

西沢 隆之 (読売新聞経済部)

原油価格が高止まりする中、先進エネルギー消費国からなる国際エネルギー機関(IEA)の事務局長として、積極的にエネルギーの持続可能性についてメッセージを発し続ける。超大型ハリケーン「カトリーナ」の発生をきっかけに起こった原油価格の高騰局面では、IEA加盟国の備蓄放出を主導して価格の抑制につなげ、存在感を示した。

今回は、2030年までの世界のエネルギー需要を予測した2006年版「世界エネルギー見通し」をーマに講演し、中国やインドなどを中心とした最近の石炭の需要増を要因に挙げて、世界が新たなエネルギー政策をとらずにエネルギー需要の伸びを放置すると、「2030年までに化石燃料を中心に世界で(1次エネルギー)需要は50%伸び、危機を招く」と警鐘を鳴らした。その上で、「エネルギー利用効率の向上がとくに重要」と強調した。

エネルギー効率を高める上で、マンディル事務局長が指摘したのが原子力発電の利用促進だ。「世界エネルギー見通し」で初めて原子力に1章を割いたことや、ガス発電より原子力発電の方が割安となる点を紹介しつつ、「エネルギーの持続可能な供給を確保する上で原子力は重要だ」としている。また、油田への投資が十分進まないために原油価格が高止まりしている点に関連しては、「(産油国に)外国からの積極投資を望まない資源ナショナリズムの高まりが出てきている」と述べ、産油国側の動きをけん制した。

「直面する問題を説明するのは簡単だが、解決は容易ではない」。ゆっくりかみしめる語り口は、本腰を据えてエネルギー効率の向上に取り組む必要性を強く印象づけた。

ゲスト / Guest

  • クロード・マンディル / Claude Mandil

    フランス / France

    IEA事務局長 / Executive Director, IEA

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