2006年11月20日 00:00 〜 00:00
西室泰三・東京証券取引所社長

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会見リポート

市場の安定と公正な運営

稲田 好美 (時事総合研究所代表取締役)

西室氏は当クラブ初登場。東証トップとしては、「20年前の竹内(道雄)理事長以来のこと」と、会見の冒頭、自ら紹介した。

自由主義経済の総本山とも言うべき証券取引所の代表者が、かくも長期間、クラブと“無縁”だったとはいささか驚かされた。

取引所や、それを取り巻く環境が穏やかで、クラブ側の興味を引く問題も少なかったのだろうか。

この20年間に、経済環境は激変した。東証も会員制の組織から株式会社に改組し、上場に向けて準備を進めている。欧米の取引所との国際的な市場間競争も激しく、提携、合併など、主要取引所の合従連衡の動きも表面化している。

西室氏は、こうした動きを分かりやすく解説しながら、ニューヨークやロンドンの証取との提携協議の状況にも触れた。

なぜ今、上場が必要かという基本的な問いに、「世界中の取引所が1990年代までは会員制だったが、会員の証券会社が恣意的な取引所運営をするなど弊害が目立ってきた。(上場による)株主の多様化で緊張感のある経営になるはず」と説明。

中立的であるべき取引所が利益追求に走るのではとの懸念には、「新しい持ち株会社の下に、東証と自主規制法人を分ける」方法で対応する。また、上場に向けて取引所として、買収防衛策も検討していることを明らかにした。

いずれにしろ「最大の目的は市場の安定、信頼性のある公正な運営」だと、何度も強調していた。

先進国の証券取引所の間での国際競争の激しさを印象付けた会見だったが、西室氏は「20年も出てこないのでなく、ご要望があれば来年も出てきます」と結んだ。

ゲスト / Guest

  • 西室泰三 / Taizo, Nishimuro

    日本 / Japan

    東京証券取引所社長 / President and CEO,Tokyo Stock Exchange

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