2006年10月11日 00:00 〜 00:00
中川秀直・自民党幹事長

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会見リポート

新政権の高揚感

星 浩 (朝日新聞編集委員)

「安倍政権のプロデューサー」を任じる中川秀直自民党幹事長が、外交を中心に発足早々の政権の実情などを語った。

会見は10月11日。安倍首相が直前に中国、韓国の電撃訪問に踏み切り、北朝鮮が核実験を発表。東アジア情勢が混沌としてきたさなかという絶好のタイミングだった。

中韓両国訪問については「安倍氏をイデオロギーの人と見誤ってはいけない。国益に立脚した戦略の政治家だ」と説明。靖国神社参拝問題を事実上棚上げして、両国訪問を決断した安倍氏の柔軟性を強調した。

北朝鮮の核実験の発表にも触れて「日本、中国、韓国、北朝鮮の中で靖国問題で日本が孤立していると指摘されていたが、今回の中韓との首脳会談の結果、日中韓対北朝鮮という戦略状況が生じつつある」と語った。「時代が安倍首相を創り、安倍首相が歴史を創る」とも語った。いささか大袈裟に過ぎるように思えたが、政権発足早々の高揚感は伝わってきた。

安倍政権の「歴史的意義」に比べると、現実政治をどうこなしていくかという点では物足りなかった。政調会長当時には「成長会長」を自認して増税に頼らない成長政策を説いたが、この日の講演では具体的な政策にはあまり言及されなかった。

相次ぐ重要な選挙にどう臨むのか、郵政法案に反対した無所属議員の復党をどう判断するのか、そして「政治は生活だ」と訴える小沢一郎氏の民主党との対決の行方は……。聞きたいことは山ほどあったが、講演40分、質問20分では短すぎる。

質問も活発だったとは言えない。私も含めて参加者の反省材料だ。「小さい政府」「新しい保守の理念」を掲げる論客だけに、次回は丁々発止の応酬を実現したいものである。

ゲスト / Guest

  • 中川秀直 / Hidenao Nakagawa

    日本 / Japan

    自民党幹事長 / Secretary‐General of the Liberal‐Democratic Party(LDP)

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