2006年10月24日 00:00 〜 00:00
フィル・ゴフ・ニュージーランド国防・貿易相


会見リポート

東アジア経済連携協定への期待

山本 紀子 (毎日新聞外信部)

キウイの輸出促進から大量破壊兵器の拡散防止構想(PSI)まで、管轄は広い。北朝鮮の核実験から約2週間という時節がら、質問は安全保障の分野に集中した。

国連で決議された北朝鮮への船舶検査に、ニュージーランド(NZ)は参加するのかとの問いに対し、「国連の決めた要件のもと、国際法の枠組みの中で行う」と答えた。公海上で強制力を伴った船舶検査ができるかどうかについては、積極的な米国と消極的な中国など各国で温度差があるが、ゴフ氏は慎重な言い回しに終始した。一方で「NZはPSIに賛同し訓練に参加している。北朝鮮の船に大量破壊兵器が積み込まれているとの情報があった場合は、協力する」と述べた。

NZは日本よりはるかに厳しい非核政策を貫く。米国、豪州との3国間安全保障条約のアンザス条約も凍結し、米国の核の傘には入っていない。「核兵器の保有に向けた論議も必要だ」と口にする日本の政治家もいる中、「核は持たない」と明言した安倍晋三首相に対し、ゴフ氏は「首相のはっきりした表明を強く支持する」と歓迎した。

30分のスピーチのうち、半分以上を費やしたのは日本とNZの貿易促進についてだった。日本は農産物の市場開放に慎重で、NZとは自由貿易協定(FTA)の交渉も始めていない。ゴフ氏は「NZの農産品の脅威は大げさに語られている。日本とNZは季節が逆で、日本の農産物とは競合しない。私たちは質の高い安全な食べ物を送り出すことができる」と熱を込めて語り、日本政府が今年8月に提唱した、アジア各国にNZと豪州、インドを加えた「東アジア経済連携協定」(EPA)への期待感を強く表明した。


ゲスト / Guest

  • フィル・ゴフ / Phil Goff

    ニュージーランド / New Zealand

    国防・貿易相 / Minister of Defence and Minister of Trade

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