2006年09月15日 00:00 〜 00:00
志位和夫・共産党委員長

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会見リポート

「理詰め殺法」は健在だが、固い

増山榮太郎 (時事通信出身)

1990年の日本共産党大会で志位和夫中央委員が突然、書記局長に抜擢された時、世間は驚いた。36歳、党外の人間には無名に近い。「志位フー(志位って誰)」と言うのが当時の論調だった。だが、国会などで政府与党を理詰めで攻め立てた舌鋒の鋭さは鮮烈な印象を残した。しかし、若さゆえの固さもあったと記憶する。その彼も今や、ミヤケン去り、不破哲三氏も一線から退き、文字通り「ミスター共産党」に上り詰めた。奇しくも、後継首班の安倍晋三氏とは同年の52歳。

記者会見の主テーマは「小泉政権5年間の総括」だが、「三つの異常」として①過去の侵略戦争の正当化②アメリカの言いなり③格差社会を生んだ極端な大企業中心主義と、一刀両断に切り捨てた。そして後継総裁総理の安倍氏に対しても①人間らしい労働の破壊②年金改悪③税制による大企業優遇、庶民への増税④教育改悪とバッサリ。論旨明快、「理詰め殺法」は健在なり、だ。

ならば「小沢民主党代表が説く自公政権打倒のため参院選での選挙協力はどうか」との記者質問には「民主党も自民党と同じ」とニベもない。

冷戦後、欧州などの各国共産党は連立与党に積極的に参加するなど柔軟な姿勢に転じた。昔からの日本共産党の持つ無謬性、あるいは唯我独尊の表れか。会場から「志位さんは相変わらず固い」という声が出たゆえんでもある。

しかし、最近の訪韓では同国の与野党政党との交流を深め、引き続きパキスタン政府の公式招待で同国を訪問するなど独自の政党外交を展開している。こうした政党外交を通じて同党に欠けている国際性や柔軟性を身につけることができれば、次なる飛躍が期待できるかもしれない。

ゲスト / Guest

  • 志位和夫 / Kazuo SHII

    日本 / Japan

    共産党委員長 / Chairman of communist party

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