2006年09月13日 00:00 〜 00:00
福島瑞穂・社民党党首

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会見リポート

二大政党の谷間で続く苦闘

尾崎美千生 (毎日新聞出身)

「55年体制」の真っ只中で旧社会党を担当した者にとって、党存廃の崖っぷちに立たされている社民党党首の「ポスト小泉」政局観を聴くのは、ちょっと複雑な心境であった。まして、それぞれ圧倒的支持で政治の新たなステージに登場した安倍、小沢両代表による自民・民主二大政党間の政権をめぐる主導権争いにマスコミの関心が集中する中、実は失礼ながら事前に昔の同僚と「記者が集まるだろうか」と密かに心配し合った。だが、会場は少数の現役記者と多数の白髪交じりの「心優しき先輩記者」(司会者)でほぼ埋まった。

会場の雰囲気に気を好くしたか、「瑞穂節」はことのほか勢いがよかった。「自民党の対立軸になる唯一の政党・社民党」というスローガンには「もはや反主流がいなくなった自民党の中に対立軸は存在しない」という認識と、「野党間でブリッジ役を果たせるのはわが党」という自負心の二重の意味を持たせたかったに違いない。「小泉さんは郵政改革と自分のことにしか関心がなかったが、安倍政権はそれより百倍も怖い」と言う通り、安倍政権の憲法改正、教育基本法に代表される“戦後民主主義”否定への危機意識、警戒感は強い。「反戦・反ファシズム統一戦線」の闘いを、という女性党首の総括には久しぶりの高揚感さえ漂う。安倍政権の登場を「平和と暮らし」を守る反転攻勢の転機に、という悲願の表明でもあるだろう。

だが質疑での「外国のメディアは安倍氏を“デンジャラス・ナショナリスト”と言っている。党首の認識はまだ甘い」という指摘と、「憲法改正や靖国参拝に表れた最近の世論、特に若い世代の意識は戦後民主主義からは遠く離れている」という指摘を、どう結び付けていくのか。巨大与党と小沢民主党のビルの谷間で叫ぶ福島社民党の苦闘は続きそう。

ゲスト / Guest

  • 福島瑞穂 / Mizuho FUKUSHIMA

    日本 / Japan

    社民党党首 / Chair, Social Democratic Party

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