2006年07月14日 00:00 〜 00:00
与謝野馨・経済財政・金融担当相

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会見リポート

「財政赤字」は忍び寄る危機

藤井 彰夫 (日本経済新聞編集委員兼論説委員)

「日本銀行の政策決定会合の話題は一切触れないのでご容赦いただきたい」──。7月14日午後1時から始まった記者会見の冒頭で、与謝野氏はこうクギをさした。

日本銀行が2001年3月から続けてきたゼロ金利政策の解除を決める政策決定会合の当日だったからだ。実際、日銀がゼロ金利解除を発表したのは会見の真っ最中だった。

冒頭発言では金融政策には触れなかったが質疑応答では「例外的な政策から脱却しなければならないという方向性は正しい」とゼロ金利解除に理解を示した。

本題は経済財政担当相として7月7日にまとめたばかりの政府の骨太方針2006。「日本は明確な危機に立ち向かうことには慣れているが、財政問題のように少しずつ病状が悪化していく危機にはあまりうまく対応できないのではないかと心配している」と財政再建の重要性を訴えた。財政赤字問題を「忍び寄る危機」(クリーピング・クライシス)と表現したのが印象的だった。

5年半にわたる小泉純一郎政権の業績については「自民党の持っていた古いモノを壊し整地した」と評価したうえで、ポスト小泉政権では「整地したところにどんな家を建てるかということが重要になる」と見方を示した。「壊す時代」から「設計と建築の時代」に入り、国民への説明責任がより重要になるという見立てだ。ポスト小泉政権での財政再建などの政策課題をどう進めるかを意識した発言だ。

当然、秋の自民党総裁選への出馬意欲を尋ねる質問も場内からは飛んだが、「新聞や雑誌に出ると家に帰って女房から『とんでもない』としかられる。家が治まらないと国も治まりませんから」とかわした。

ゲスト / Guest

  • 与謝野馨 / Kaoru Yosano

    経済財政・金融担当相 / Minister of State for Economic and Fiscal Policy

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