2006年06月23日 00:00 〜 00:00
町田顕・最高裁長官

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会見リポート

人柄にじみ出たクラブ初会見

石井 一夫 (読売新聞論説委員)

日本記者クラブ設立以来、初めてという「画期的な会見」が実現したのも、この人のキャラクターに負うところが大きいだろう。

クラブではこれまで、佐藤栄作氏から小泉純一郎氏に至るまで、12人の現職総理が会見した。衆参両院議長の会見も、土井たか子氏と斉藤十朗氏のときに実現している。三権の長で登場していないのは、最高裁長官だけだった。

クラブ側は何度も出席を求めてきたが、最高裁長官には、司法行政のトップのほか、大法廷の裁判長という顔がある。具体的な裁判の話をするわけにもいかないということで、断っていたのだろう。

町田長官は今回、話題を裁判員制度に限定はしたものの、進んで会見を買って出たフシがある。前例を意識しない、ちょっと変わった裁判官なのである。

東京高裁の部総括判事だった時、分譲地内で自宅前をゴミ集積所にされた人が、場所の輪番制に反対した人にはゴミを出させないよう求めた訴訟を担当した。

1審の横浜地裁は原告の訴えを退けたが、町田判事はそれを覆す判決を言い渡した。差し止め請求のハードルは高いため、驚いた裁判官も多かったようだが、最高裁では、その高裁判決が維持された。

町田長官のリベラルな面は、23日の会見でも発揮された。

裁判員制度を導入するのは、日本の刑事裁判が抱えている問題点を正すため。評議で裁判官から圧迫を受けたかどうかは、話してはいけない秘密に当たらない──など。

自らは民事が専門だからなのかどうか。最高裁長官のこだわりのない語り口は、刑事裁判官の肝をちょっと冷やしたかも知れない。

ゲスト / Guest

  • 町田顕 / Akira Machida

    最高裁長官 / Chief Justice, Supreme Court.

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