2006年06月22日 00:00 〜 00:00
サム・ジェームソン・ジャーナリスト「在日外国人のみた小泉政権5年」3

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会見リポート

在日40年記者の“変人”評

武藤 誠 (朝日新聞出身)

「やはり変人でした」

冒頭、田中真紀子さんの98年の自民党総裁選での小泉評は正しかったと切り出した。在日40年を超す日本政治の外国人ウォッチャーがたどりついた小泉首相への総括だけに、聞き捨てにはできない。

以後1時間半、ジャーナリストらしく具体例をあげ、全国戦没者追悼式での発言を紹介したりしながら、流暢な日本語で検証がつづいた。

首相として変わっている点は、“変人の母”田中真紀子独りの人気によって就任できたことと、米国大統領と現職同士でこれほど親しい関係を結び合った前例がない二点だ。

親密さは、9・11、イラク戦争などが続いた難しい時代に、日本外交には大きなプラスとなった。一方で、日米の同盟関係は急に深まり軍事の一体化など安保体制の構造は強まったが、周りの状況が悪化して、あるべき機能をしていないとみる。

5年続けた靖国参拝は、14人のA級戦犯の取り扱いが問題なので、そもそも政府が神社にその名簿を出したこと自体が違憲だ。まして日中がうまくいくことが米国にも好ましいので、米国の利益になっていない。

リーダーシップからみても、簡単な言葉で説得力を持つ劇場政治のセンスがあるが、興味をひかない問題では無気力となってしまう。昨秋の総選挙で与党が圧勝したのに、集団自衛権、消費税値上げ、憲法改正等、みな先送りにしてしまった。

こだわりと淡白さと、矛盾する姿をジェームソンさんは描いた。

明治維新から二世代60年の1928年に、田中義一内閣で張作霖爆殺事件を起こし、日本帝国は米国と敵対して破滅への道を突っ走る。

その敗戦から昨年は60年。「大統領型」政権でメディアを巧みに操りながら米国追従の道を歩んだ小泉さんは、後世の日本人からも変人とよばれるのだろうか。

ゲスト / Guest

  • サム・ジェームソン / Sam Jameson

    ジャーナリスト / Journalist

研究テーマ:在日外国人のみた小泉政権5年

研究会回数:3

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