2006年05月29日 00:00 〜 00:00
河野太郎・衆院議員/斉藤鉄夫・衆院議員「臓器移植法改正」

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会見リポート

二つの改正案が示す悩ましさ

辻 篤子 (朝日新聞論説委員)

臓器移植が進まないのは、臓器移植法が厳しすぎるからか。与党から二つの改正案が今国会に提出された。

自民党の河野太郎衆院議員は、「脳死移植を受けられないから、生体からの移植が増える。子どもが募金を得て海外へ移植を受けに行く。中国で死刑囚の臓器を移植してもらう。こんな現状を放置することはもう許されない」との現状認識を示したうえで、改正案Aを説明した。

現行法では本人の意思が書面で示されることが条件だが、本人が拒否しない限り、家族の意向で提供できるようにする。「立法府として、部屋の鍵を開けたい」と述べた。

公明党の斉藤鉄夫衆院議員のB案は、本人意思を前提とする原則はそのままに、提供できる年齢の下限を15歳から12歳に下げる。斉藤氏は、「河野氏が2年前に立ち上げた与党検討会に参加し、脳死移植に対して、あまりに大きい異論が専門家の間にあることを知った。とりわけ小児科の専門家は慎重だ。一律に脳死を死とし、本人意思の前提を変えるのは時期尚早だと思うに至った」と異なる案をまとめたいきさつを述べた。

しかし、自ら父の洋平氏に肝臓を提供した経験を持つ河野氏は、「死に直面する人がいる。これでは問題は解決しない」ときっぱり。

斉藤氏も、「改正案で乳幼児の問題は解決しないといわれたら、その通り」と、自ら認める「苦しい答弁」。しかし、日本人の死生観も考えれば、啓蒙しながら一歩ずつ進めていくしかないとの立場を強調した。

だれもが命は救いたい。が、同じ検討会でも全く違う答えが出る。この問題の悩ましさがあらためて浮き彫りになった。

ゲスト / Guest

  • 河野太郎 / Taro Kono

    衆院議員 / Members of the House of Representatives

  • 斉藤鉄夫 / Tetsuo Saito

    衆院議員 / Members of the House of Representatives

研究テーマ:臓器移植法改正

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