2006年05月22日 00:00 〜 00:00
森喜朗・前首相

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会見リポート

じらしながら本音もチラリ

薬師寺克行 (朝日新聞「論座」編集長)

話の大半は日ロ関係や日中関係だった。しかし、10日ほど前の派閥総会で「総裁選候補を一本化するつもりはない」と宣言したばかりとあって、聞く側は当然、自民党総裁選の話を期待していた。しかも、出席者数は191人と多かった。

もちろん、森氏はそんなことは百も承知している。その上で、聴衆をじらすかのように、ロシアのプーチン大統領との個人的関係から最近の日ロ関係の課題へと話は続いた。さらに、後半は直前の中国訪問と進めた。

政界でも右に出る者がいないほどの「話上手」でもある森氏だが、今回は珍しく紙を用意し、時には国会答弁よろしく読みながらの講演だった。

しかし、そこはサービス精神旺盛な森氏らしく、日中関係では「為政者は小さな事も大きく広がることは慎まなければならない。指導者によって解決すべきだ」と靖国神社参拝問題に言及し、小泉首相の対応を批判してみせた。

質疑にはいると、自派に安倍晋三、福田康夫氏という二人の次期総裁の有力候補を抱えていることから、「院政を敷こうとしているのではないか」と聞かれた。すると「もう、疲れ果てている。安倍や福田の後ろからどうこうするつもりはない。影響力のない政治家になりたい」と応じた。もちろん、誰もそんな言葉を信じるわけもない。総裁選を語るにはまだ時期が早いということだろう。

とはいえ、武部幹事長を「総裁選に向けていろいろやろうとしているが、首相へのこびへつらいだ」と批判したり、「派閥は形を変えてもなくならない」などという本音も聞かれた。

ちなみに、会見の夜、森氏は小泉首相と食事をしたことも付け加えておきます。

ゲスト / Guest

  • 森喜朗 / Yoshiro Mori

    前首相 / Former Prime Minister

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