2006年04月21日 00:00 〜 00:00
鈴木修・スズキ会長

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会見リポート

ふるさとは現場の油のニオイ

尾本 憲由 (日刊工業新聞第一産業部)

売上高が2兆5000億円にもなれば、誰が見ても立派な大企業に違いない。それでも自らを中小企業と言ってはばからない。それが嫌みにならないのは、好々爺然とした風貌故だろうか。「アルトで歩こう」のキャッチフレーズが懐かしい初代アルトの発売が79年で、社長就任はその前年。以来30年近くにわたって最前線で陣頭指揮し、「四輪ではどん尻」だったスズキを軽自動車トップにまで押し上げた。

経営手法は堅実そのもの。現地現物を徹底し、トヨタ自動車を擁する自動車業界のなかにあっても、その 〝ケチケチぶり〟は際立っている。「2兆5000億円はあくまで取扱高。完成車メーカーは部品を右から左へ流しているだけで、本当の売上高は3000億─5000億円程度」なんて理屈は、並の経営者からは出てこない。

業績面では順風満帆そのもののスズキだが、最近になって脚光を浴びたのは、筆頭株主で最大の提携先でもあったゼネラル・モーターズ(GM)との絡み。GMが経営危機に陥り、保有するスズキ株の大半を手放したからだ。そのすべてをスズキ自身が買い戻したわけで、考えてみれば良い迷惑。それでも「今でも感謝しているのは、ウチが自動車メーカーとしてここまで来られた背景にはGMの指導、協力が絶対欠かせなかった」と言って止まない。

鈴木家に婿養子で入る前は銀行員だったはずだが、「モノづくりのトップは、機械で焼けた油のにおいがオレのふるさとのにおい、あれがたまらないという感覚でないと務まらない」という言葉が自然に飛び出す。よく日産自動車のカルロス・ゴーン社長がGM再建人の候補に目されるが、私ならこの人をまず挙げたい。

ゲスト / Guest

  • 鈴木修 / Osamu Suzuki

    スズキ会長 / President, Suzuki Motor Corporation

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